マーケティングにおけるプロダクトライフサイクル、PPM分析は
より具体的な戦略・戦術について有効な手法になります。

今回は、プロダクトライフサイクル、PPM分析について、
具体例をもちいて考えていきます。

 

プロダクトライフサイクル(製品のライフサイクル)

 

プロダクトライフサイクル(製品のライフサイクル)とは、
あらゆる製品やサービスは誕生から衰退までの道のりの中で
その過程において特徴があるとしています。

 

プロダクトライフサイクルとは(製品のライフサイクルとは)、
あらゆる製品には、導入期→成長期→成熟期→衰退期をたどることを指します。

 

縦軸に売上や利益、販売数量等
横軸は時間とします。


プロダクトライフサイクルの各時期についての特徴を示します。

 

導入期


新製品が発売された直後は、価格も高く、その製品の魅力がどの程度のものなのか?
がわからないので、あまり売れない時期になります。
この時期は開発費用や広告費用が膨大にかかるため、利益はほとんど、うまれません。

 

成長期


新製品の魅力が浸透しだし、多くの人が買うようになることにより、急速に成長します。
増産のための設備投資や他社の参入、さらなる改善等により利益はあまり上がりません。

 

成熟期


製品が一般的に浸透し、売上が最大になります。
生産設備の増強も必要なくなり、シェアも固定化する事で、
費用もかかりづらく、利益が最大になります。

 

衰退期


市場に製品が浸透しきった状態になります。
代わりに新たな製品が生まれてくる事により売れなくなります。
過剰在庫や遊休生産設備による損失が出てきます。

 

具体例で示すと、

 

ガラパゴス携帯電話はスマートフォンの登場により衰退期
スマートフォンは成熟期
スマートスピーカー導入期(成長期?)。


プロダクトライフサイクルに当てはめて
製品がどの時期に位置づけてられるのか?
時期がわかると、その市場がどういう状態なのかがわかりやすいですよね。

 

 

PPMとは?

 

PPMとは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略で、

プロダクトライフサイクルを縦軸とし、
相対的市場占有率を横軸とします。

製品を4つに分類された状態にカテゴライズし、それぞれの製品を
どのように経営資源を配分するべきかを示します。

 

 

問題児 problem child


導入期から成長期にある製品は、大きな投資を必要とします。
投資により、高いシェアを確保出来ることにより「花形」となります。
しかし、シェア確保ができないと負け犬」になってしまいます。

 

花形 star


シェアが高く成長期に位置する製品です。
しかし、成長期に位置する製品のため、増産体制のための投資や製品の改善を繰り返し
競合よりもシェアを確保し、成熟期となり「金
のなる木」になるまで走り続ける状態です。

 

金のなる木


成熟期になり高いシェアを確保している状態を築く事で大きな収入源になります。
しかし、いずれは衰退するので、その収益を「問題児」や「花形」製品の投資にまわします。

 

負け犬


シェアが低いと利益も得られません。早急に撤退することが重要になります。

 

これらの状態から
維持戦略、収穫戦略、拡大戦略、撤退戦略を選択します。

 

具体例で示すと、

 

液晶テレビの製造においては、
日本各社、「問題児」「花型製品」を目指しましたが、
圧倒的な規模の経済で投資した中国(韓国・台湾)各社が液晶テレビのシェアを確保して行くことで、
いつしか「負け犬」にシフトし、「撤退戦略」を取らざるを得ない結果となりました。

 

 

あなたの会社で取り扱う様々な製品はPPMにてどこに位置づけられますか?

 

PPM分析のシートを作成しましたので是非ご活用ください。

PPM テンプレート PDFダウンロードはこちら。

 

 

 

 

キャズム理論とは?キャズム対策はあるのか?

 

韓国は現在OLED TVQLED TVといった液晶TVよりも色鮮やかな画質で勝負に挑んでいます。

 

あなたは所有している液晶TVの画質に不満はありますか?

 

過去に液晶TVにおいて、付加価値を儲けようと3Dテレビがリリースされました。
今では見る影もありません。

これはキャズムを超えられなかった典型例と言えます。

 

キャズムとは、
プロダクトライフサイクルにおける導入期〜成長期にシフトできない製品の状態を指します。

 

つまり、新しもの好き(イノベーター)のニーズには応えることができた(導入期)。
しかし、より一般的な感覚に近いニーズには応える(成長期)ことができない(ニーズがない)状態。

 

(参考)イノベーター理論
イノベーター理論は、1962年にスタンフォード大学の社会学者であるエヴェリット・ロジャースによって提唱され、別名普及学とも言われる。特定様式が流行する過程において、その社会を構成するメンバーを分類したものである。

イノベーター(Innovators:革新者)

新しいものを進んで採用するグループ。彼らは、社会の価値が自分の価値観と相容れないものと考えている。全体の2.5%
アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感で、自ら情報収集を行い判断するグループ。オピニオンリーダーとなって他のメンバーに大きな影響力を発揮することがある。全体の13.5%。
アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)
ブリッジピープルとも呼ばれる。新しい様式の採用には比較的慎重なグループ。全体の34.0%。
レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)
フォロワーズとも呼ばれる。新しい様式の採用には懐疑的で、周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。全体の34.0%。
ラガード(Laggards:遅滞者)
最も保守的なグループ。世の中の動きに関心が薄く、流行が一般化するまで採用しない。全体の16.0%。中には、最後まで流行不採用を貫く者もいる。
引用元:Wikiペディア

 

3Dテレビがキャズムを超えられなかった理由は、
単純に魅力を感じない人が多かった。
もしかすると3Dのコンテンツが充実していればキャズムは超えられたかもしれません。

 

 

3Dテレビ同様に、OLED TVQLED TVについてもキャズム理論の適用は充分に考えられます。
では、なぜ韓国メーカーはこれらの技術にこだわるのか?

 

液晶TVよりも画質勝負した技術をスタンダード化し
消費者がほぼ同価格であれば画質の良いTVを購入するだろう。
それにより、液晶TVを「負け犬」にしようと考える戦略が見えます。
しかし、液晶TVと同価格に近づけるためには、かなりの投資が必要となります。

 

では、キャズムを超える方法はないのか?

例えば、ペットボトルコーヒーについて過去に記事を書きましたが、
まさにキャズムを超えるためのマーケティングがなされています。

 

a5log

コーヒー中毒の40代サラリーマンの”ひら”です。 今回はコーヒー市場をマーケティング思考で分析します。 目次 1 多様化…

 

 

キャズムを超える為の方法としては
ターゲットを明確にした上で、ブランディングをすることはひとつの手段になるのです。

 

昨今ではインフルエンサーを活用するマーケティングも話題になりますが、
昔から芸能人やスポーツ選手を起用した手法と同様のブランディングのひとつです。

 

プロダクトライフサイクルの捉え方をさらに掘り下げ、
自分自身をマーケティングする2回目の記事は下記を参照ください。

 

a5log

1. 早期退職やリストラ…あなたはどうする?2. プロダクトライフサイクル、PPMの捉え方を金型市場を例に考える。3. …

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

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